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[クラシック・ニュース 2010/2/21 - 2010/2/27]
2010年2月25日(木)
[CD新譜紹介] 鳴り響く圧巻のバイロイト・サウンド
作品:R・ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」全曲
演奏:
クリスティアン・ティーレマン指揮 バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団(エベ ルハルト・フリードリヒ指揮)
アルベルト・ドーメン(ヴォータン Br)
ラルフ・ルーカス(ドンナー Br)
アルノルト・ベゾイエン(ローゲ T)
クヮンチュル・ユン(ファゾルト、フンディング Bs)
ハンス=ペーター・ケーニヒ(ファフナー Bs)
アンドリュー・ショア(アルベリヒ Br)
エントリク・ヴォトリヒ(ジークムント T)
エファ=マリア・ウェストブロック(ジークリンデ S)
リンダ・ワトソン(ブリュンヒルデ S)
ミシェル・ブリート(フリッカ A)
ステファン・グールド(ジークフリート T)
ゲルハルト・ジーゲル(ミーメ T)
クリスタ・マイヤー(エルダ A)
ロビン・ジョハンセン(森の小鳥 S)
ラルフ・ルーカス(グンター Bs)
録音:2008年7、8月 バイロイト祝祭劇場
番号:OpusArte OACD9000BD
定価:オープン価格
発売:クリエイティヴ・コア株式会社
 英国OpusArteがバイロイト音楽祭と長期のパートナー契約を締結、その第1弾で「リング」全曲ライブ録音が発売された。
1951年に戦後再開されたバイロイト音楽祭はこれまでいくつかのレーベルからライブ録音、映像が発売されてきた。「リング」に関しても51年の「神々の黄昏」がTestamentレーベルから出たし、カイルベルトによる55年の全曲録音の登場は大きな話題となったことはまだ記憶に新しい。
 
 ティーレマンは2000年に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」でバイロイト音楽祭にデビュー、以来「パルシファル」「タンホイザー」も手がけ、バイロイト音楽祭の中心的存在として今日まで活躍している。 タンクレート・ドルスト演出の「リング」はプレミエの2006年から連続して振り、年を重ねるごとにますます重厚さをまし、いまやバイロイト最大の話題作になっていることは疑いない事実。
 バイロイト音楽祭の「リング」全曲のライブ録音は66、67年ベーム盤以来になる。ブーレーズ、バレンボイムもバイロイトで録音しているがライブではなく、完全なライブ収録は実に40数年ぶり。ベームのフィリップス・レーベル(今はデッカ)録音とはいささか異なるスケール大きい壮麗なワ−グナー演奏は圧倒的な迫力で迫る。録音技術の向上もあるだろうが、それにしても響きのすばらしさは絶品である。
 ニルソン、ヴィントガッセン、アダムら名歌手の歌唱に比して08年に舞台に登場した歌手達はスケール感こそ往年の名歌手には及ばないが堂々とした歌いぶりはやはり歴史を誇る殿堂にふさわしい見事さ。
  
 2009年からバイロイト音楽祭はカタリーナ・ワーグナー、エファ・ワーグナー・パスキエによる2頭体制になり新しい組織になった。時代に相応した新しいバイロイト音楽祭はインターネット中継、現地でのライブ・ビューイングなど、これまでにない動きを見せ伝統におぼれない展開を開始している。OpusArteとの契約で次々に出るバイロイト・ライブはワーグナー・ファンを驚喜させる映像、音であるに違いない。2013年のワーグナー・イヤーにはどんな物が出るのだろう?
(「リング」に続きDVDで昨年の「トリスタンとイゾルデ」、今年の「ワルキューレ」の発売が決まった)


岩崎和夫(音楽ライター) 

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2010年2月25日(木)
[CD新譜紹介] マーラーの歌曲の本質に迫る
作品:グスタフ・マーラー
① ラインの伝説
② わたしはみどり深い森を心楽しく歩んだ
③ 春の朝
④ 夏の歌い手交替
⑤ 誰がこの歌をつくったか 
⑥「さすらう若人の歌」〜
  Ⅰฺ いとしい人がお嫁に行く日
  Ⅱฺ 今朝ぼくは野原を歩んだ
  Ⅲฺ ぼくは燃える剣を持っている
  Ⅳฺ いとしいあの子のつぶらな瞳が 
⑦ シュトラースブルグの砦
⑧ 浮世の暮らし
⑨ もう会えない
⑩ ファン タジー
⑪ 美しいラッパの鳴るところ 
⑫「リュッケルトの詩による5つの歌曲集」〜
  Ⅰฺ わたしの歌を盗み見ない で
  Ⅱฺ わたしはリンデンの香りに
  Ⅲฺ 真夜中
  Ⅳฺ わたしが美しいから
   Ⅴฺ わたしはこの世から姿を消した
⑬ 原光
演奏:クリスティアン・ゲルハーヘル(Br) ゲロルト・フーバー(P)
録音:2009年1月3、4日 4月13、14日 ミュンヘン高等音楽院大ホール
番号:RCA BVCC−40066
定価:¥2940
発売:SONY MUSIC JAPAN Inc.
 世界で今活躍しているバリトン歌手は数多いが傑出した存在となるとその数はきわめて限られてしまう。中ではゲルハーヘルこそ文句なくそのトップにランクされる一人である。この新盤で聴くことの出来るディクションの見事なドイツ語には心底から感心させられる。
 
 恵まれた美声に加え豊かな声量の声で再現されるマーラー歌曲は感嘆の一語に尽きる。久々に出た、いつまでも常に手元に置いておきたいアルバムだ。
 
 聴き終わって中の解説書に目を通したが、ゲルハーヘルの曲に対する見解が紹介されている。それを読むと彼がいかに深くマーラーの歌曲を解釈し、自己のものにしているかがよく理解出来る。


岩崎和夫(音楽ライター) 

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2010年2月25日(木)
[CD新譜紹介] 竹澤の充実した演奏ぶり
作品:ヨハネス・ブラームス
① ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調Op78「雨の歌」
② ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op100
③ ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調Op108
④ スケルツォ ハ短調 アレグロWoO2
演奏:竹澤恭子(Vn) イタマール・ゴラン(P)
録音:2009年5月28〜31日 6月1日 軽井沢大賀ホール
番号:RCA SICC1281
定価:¥2940
発売:Sony Music Japan)
 1986年第2回インディアナポリス国際コンクールに優勝し,一躍脚光を浴びた竹澤がデビュー20年を記念して録音した新盤である。協奏曲、ソナタなど多くの曲を録音してきた彼女の、これまでの演奏の集大成とも言える内容の充実した弾きぶりに、改めて驚きを禁じ得ない。デビュー盤プロコフィエフ、チャイコフスキー2曲の協奏曲、バルトークの無伴奏ソナタのさっそうとした演奏ぶりからこのブラームスまで、20年の時間が蓄積された自信に充ちた姿には弛まぬ努力の結晶以上のいわば天分とも言える才能が感じられる。今世界で幅広く活躍する国際ヴァイオリニスならではの芸術の粋と言って間違いない。


岩崎和夫(音楽ライター) 

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2010年2月25日(木)
[新刊書籍紹介] ヘンデル--創造のダイナミズム
ドナルド・バロウズ編 藤江効子/小林裕子/三ケ尻正=訳
発行=春秋社 定価(本体5500円+税)
 没後250年を記念して出版された大著。「ケンブリッジ・コンパニオン・シリーズ」の一つとして1997年に出版され、ヘンデルの音楽の様々な要素を編者バロウズ以下16人の専門家が詳細に記述した3部構成の研究書。最近の研究成果を取り入れた18項目にわたる記述はこれまであった伝記的なものとは異なり、ヘンデルの音楽の本質を様々な面から追求していることに特長がある。

 ドイツでの21年の修業時代ひとつとってもこれまでにない説が紹介されているし、イタリア時代を経てロンドンで多くの傑作オペラ、オラトリオを作曲した当時の音楽社会、台本作家に関する部分も得るところ大である。

 第2部の音楽の諸相もオペラ、オラトリオを中心に、室内楽曲、鍵盤楽器作品でヘンデルが後世に残した多くの重要な曲に焦点を当て、大作曲家の幅広い活躍ぶりを取り上げている。個々の作品に関する細かな記述がなく、その点では今後のより深い研究成果を待ちたいが、ヘンデルを理解するにはまたとない一冊である。 


岩崎和夫(音楽ライター) 

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2010年2月25日(木)
[DVD新譜紹介] 2つのラモー作品
作品:ジャン=フィリップ・ラモー
① 歌劇「レ・パラダン(遍歴の騎士)」全曲
演奏:
ウィリアム・クリスティ指揮 レザール・フロリサン(合唱指揮フランソワ・ パゾラ)
トピ・レティプー(アティス T)
ステファニー・ドゥストラック(アルジ Ms)
ロラン・ナルリ(オルカン Br)
サンドリーヌ・ピオー(ネリーヌ S)
ルネ・シレール(アンセルム Bs/Br)
フランソワ・ピオリーノ(マント T)
エミリアーノ・ゴンサレス・トロ(遍歴の騎士 T)
演出:ジョゼ・モンタルヴォ
装置・ビデオ・プロデュサー:ジョゼ・モンタルヴォ
振付:ジョゼ・モンタルヴォ&ドミニク・エルヴュ
衣装:ドミニク・エルヴュ、ジュリー・スコベルジーヌ、エミリ・キント=ラルサン
照明:フィリップ・ベルトメ
録画:2004年5月 パリ・シャトレ座
番号:OpusArte TDBA−5074〜5
定価:¥8190
 
作品:
② 歌劇「カストールとポリュックス」(1754年改訂版)
演奏:
クリストフ・ルセ指揮 レ・タラン・リリク ネーデルラント・オペラ合唱団 (マーティン・ライト指揮)
アンナ・マリア・パンツァレッラ(テライール S)
ヴェロニク・ジャンス(フェベ S)
ユディット・ヴァン・ビャルナソン(カストール T)
ヘンク・ネヴェン(ポリュックス Br)
ニコラ・テステ(ジュピテル Bs)
トマス・オリーマンス(ジュピテルの大祭司 )
アンデシュ・J・ダーリン(メルキュール/闘技者 T)
演出:ピエール・オーディ
装置・衣装:パトリック・キンモンス
照明:ジャン・カルマン
振付:アミール・ホセインプール
録画:2008年1月21、25日 ネーデルラント・オペラ
番号:OpusArte TDBA5107〜8
定価:¥8190
発売:クリエイティヴ・コア株式会社
 クリスティ、ルセなど優れた演奏家の台頭で次々にラモーのオペラを映像で堪能出来るようになったが、このような状況を果たして誰が想像したろう。300年以上も前に作曲されたオペラを劇場に行かず、居ながらにして見ることが可能になったのは言葉でとうてい表現出来ない喜びだ。
 「レ・パラダン」はパリ・シャトレ座での上演ライヴで日本でも2006年に来日公演された舞台。あの時もあまりの斬新さにすっかりどぎもを抜かされたが、DVDで見て色彩感鮮やかなシーンに改めて驚いた。躍動感あふれる踊りはこれが300年前の作とはとても思えない。モンタルヴォとエルヴェ(演出、振付)の才にはクリスティ以上の大きな拍手を送りたい。
 
 踊りのすばらしさは勿論だが歌手陣の充実ぶりも特筆もの。これをバロック・オペラではなく、ロック・オペラと言っても何らおかしくない。
 
 「カストールとポリュックス」はラモーの3作目のオペラで、ピエール=ジョゼフ・ベルナールの台本によるギリシャ神話を基にした双子座の兄弟の物語。
 最近次々と優れた舞台をDVDで見ることが出来るオランダのネーデルラント・オペラで2008年に収録された舞台は、「「レ・パラダン」と同様にめざましいモダン・バレエをたっぷり味わえる。オーディの演出は全幕を同じ装置を用いて展開しているが、少しの単調さもなく登場人物の細かな表現に冴えを強く感じる。
 
 パンツァレッラ、ジャンスらバロック・オペラの第一人者が揃った歌手達の見事さもけして忘れてはならない。またルセの振ったレ・タン・リリックのダイナミックで多彩な表現には脱帽。


岩崎和夫(音楽ライター) 

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2010年2月25日(木)
『地方都市オーケストラ・フェスティバル2010』
各オケとも実力伯仲、個性豊かに!東京公演高まる関心!
 毎春開かれる『地方都市オーケストラ・フェスティバル2010』、今年は5団体が出演してその実力を発揮する。各オケとも非常に個性的なプログラムで東京公演に臨む。地方都市オーケストラの実力も上がり、伯仲する中で演奏を披露する。
 
 多くの聴衆の(期待も)興味も高く、集客も好調になってきている。地方都市オーケストラもそれぞれ運営上の大きい悩みを抱えている。
それを乗り越えて進んでいる様子を、音楽を通じて聴衆に訴えるだろう。


チラシ(表・裏)(PDF/440k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。

コンサート情報:《地方都市オーケストラ・フェスティバル2010》

2010年3月20日(土) 15時 
大阪シンフォニカー交響楽団 特別参加
http://www.sym.jp/

指揮:児玉 宏

児玉 宏
ウォルトン:バレエ組曲『賢い乙女たち』(バッハの曲による)
R.シュトラウス:クープランのクラヴザン曲による小管弦楽のためのディヴェルティメント
グラズノフ:交響曲第5番 変ロ長調

チラシ(表・裏)(PDF/532k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。
2010年3月21日(日)15時 
大阪センチュリー交響楽団
http://mic.e-osaka.ne.jp/century/
 
指揮:小泉和裕 
ピアノ:小川典子

小泉和裕 小川典子
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調S.124
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」

チラシ(表・裏)(PDF/484k)
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2010年3月22日(月・祝)15時 
仙台フィルハーモニー管弦楽団
http://www.sendaiphil.jp/
 
指揮:パスカル・ヴェロ 
ソプラノ:佐藤ひさら* 
ピアノ:倉戸テル**

パスカル・ベロ 佐藤ひさら 倉戸テル
ベルリオーズ:序曲『ローマの謝肉祭』
フローラン・シュミット:バレエ組曲『サロメの悲劇』*
バーバー:アンドロマケーの別れ*
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1947年版)**

チラシ(表・裏)(PDF/648k)
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2010年3月27日(土)15時
群馬交響楽団 特別参加
http://www.gunkyo.com/

指揮:梅田俊明
ピアノ:清水和音

梅田俊明 清水和音
モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調K.297 「パリ」
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』

チラシ(表・裏)(PDF/516k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。
2010年3月28日(日)15時  
京都市交響楽団
http://www.kyoto-symphony.jp/
 
指揮:広上淳一 
ホルン:ラデク・バボラーク
ホルン(京都市響ホルン奏者):垣本昌芳(首席ホルン奏者)
ホルン(京都市響ホルン奏者):澤嶋秀昌
ホルン(京都市響ホルン奏者):寺尾敬子

広上淳一 ラデク・バボラーク
プッチーニ:交響的奇想曲
シューマン:4本のホルンのための小協奏曲 ヘ長調
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番 変ホ長調
ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調

チラシ(表・裏)(PDF/632k)
※このPDFのファイルからプリントして下さい。チラシとして活用できます。
5公演セット券:S\18,400 A\14,400 B\10,400
各1回券:
3/21、22、28 S\4,500 A\3,500 B\2,500
3/20      S\4,000 A\3,000 B\2,000 C\1,000
3/27      S\5,500 A\4,500 B\3,500 C\2,500
 
ご予約・お問合せ:03-5608-1212
トリフォニーホールチケットオンライン
http://www.triphony.com

2011年《地方都市オーケストラ・フェスティバル2011》の予定が決定!
2011年3月19日(土)   大阪シンフォニカー交響楽団 (特別参加)
2011年3月20日(日)   関西フィルハーモニー管弦楽団
2011年3月21日(月・祝) セントラル愛知交響楽団
2011年3月26日(土)   群馬交響楽団 (特別参加)
2011年3月27日(日)   広島交響楽団

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2010年2月22日(月)
[CDレビュー]《バイエルン放送交響楽団の60年》
《バイエルン放送交響楽団の60年》

曲目:
1.フルトヴェングラー:交響曲第2番ホ短調
2.ブルックナー:交響曲第8番ハ短調WAB.108
3.リムスキー=コルサコフ:序曲『ロシアの復活祭』Op.36
4.フランク:交響曲二短調
5.エルガー:エニグマ変奏曲Op.36
6.ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番ホ短調
7.ストラヴィンスキー:バレエ『火の鳥』
8.ストラヴィンスキー:バレエ『春の祭典』
9.R・シュトラウス:『ばらの騎士』組曲AV.145
10.R・シュトラウス:交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないた ずら』Op.28
11.4つの最後の歌AV150
独唱:アニヤ・ハルテロス(S、11)
指揮:
オイゲン・ヨッフム(1)
ラファエル・クーベリック(2)
キリル・コンドラシ ン(3,4)
コリン・ディヴィス(5,6)
ロリン・マゼール(7,8)
マリス・ヤンソンス(9,10,11)
楽団:バイエルン放送交響楽団
録音:
1954年12月9,10日、ミュンヘン、ヘルクレスザール(1)
1977年5月12日、ミュンヘン、ヘルクレスザール(2)
1980年2月7,8日、ミュンヘン、ヘルクレスザール(3,4)
1983年12月16日、ミュンヘン、ヘルクレスザール(5,6)
1999年6月17,18日、ミュンヘン、ヘルクレスザール(7,8)
2009年10月19,20日、ミュンヘン、ガスタイク、フィルハーモニー(9,10,11)
すべてライヴ録音
会社:独BRクラシック
番号:90702〜7
定価:オープン価格(輸入盤)
 バイエルン放送局(BR)が昨年発足させた新レーベルBRクラシックの中心的なアーティストであるバイエルン放送交響楽団の演奏が収録されたヴォリューム感のあるセットものの大作で、創立指揮者ヨッフムにはじまり、現在のヤンソンスにいたるまで、就任前に急死したコンドラシンを含む6人の歴代首席指揮者がおのおの得意とする曲目によって一枚毎のCDにまとめられている(但しヨッフムのフルトヴェングラーのみは2枚組)。そこにこのCDのすぐれた企画力が示されているが、しかも交響曲をはじめとする大曲で一貫しているのは指揮者の個性を知る上で好ましい。
 
 まずフルトヴェングラーの長大な交響曲であるが、ブルックナーを少し派手にしたような作風である。それを情熱豊かに手堅くまとめているのはいかにもヨッフムらしい。 まだ若かった日を彷彿とさせる。次にクーべリックはここではマーラーでなくてブル ックナーを振っているが、やはりその真摯で力強いアプローチに彼の音楽に対する誠 実さが示されている。そしてコンドラシンは定評あるロシアものは豪快だが、彼の力 強い指揮ぶりはフランクからドイツ的な重厚な響きを引き出した説得力の強い白熱の 演奏である。
 デイヴィスのイギリス音楽は大きな聴きもので、『エニグマ変奏曲』の各変奏は 隅々まで神経の通った見事な描写力が印象的である。ヴォーン・ウィリアムズの交響曲もバイ エルン放送響の充実したサウンドがこの演奏に重みを加えている。思いがけない掘り 出し物だった。
 
 マゼールのストラヴィンスキーはオーケストラの反応がやや鈍いためか、特に『火 の鳥』では鮮烈さに不足している。そのために指揮者がオーケストラと格闘している 感があるが、あるいはマゼールの円熟ぶりがこのような演奏を作りだしたのだろう か。でも『春の祭典』はさすがに円熟のマゼールが作品に重厚さと奥行きを与えてい る。ユニークな演奏ということが出来る。
 最後のR・シュトラウスはバイエルン放送響にとってお手のものであろう。低音に 重心があるオーケストラの分厚い響きを生かした『ばらの騎士』組曲は表現の幅が大 きく、決して軽やかさを失っていない。それはヤンソンスのセンスのよい指揮に負っ ているところが大きく、『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』も力で 押してゆくようなアプローチはとっていないが、十分な躍動感にあふれている。その 意味では音楽的な表現だといえるだろう。『四つの最後の歌』はソプラノのハルテロ スの真摯な歌よりも、しなやかなバックのオーケストラの美しさが光る。
 
 それにしてもこのオーケストラが、創立時から実に高度のアンサンブルの能力を持っていたことに改めて感嘆させられた。なおそれぞれのCDは分売されているらしい。


野崎正俊(音楽評論家)

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